チャイルド44 / トム・ロブ・スミス
(新潮社刊 2008年)
主人公: レオ・デミドフ ( 国家保安省捜査官)
当然 「このミステリーがすごい! 2009年版 海外編第1位」との評判を耳にしてからの購読。
最初 国家保安省捜査官の日常ということで拷問の描写などが続き 読み進めるのに若干苦労しましたが 後半の活劇風の展開からは一気に読了。
(スターリン時代が舞台ということで うっかり野坂参三の亡命十六年まで拾い読みを。)
ということで海外推理小説に追加しました。
スターリン体制化のソ連でせっせとスパイ摘発に勤しむ主人公。 権謀術策が渦巻く中 妻をスパイ容疑で捜査する命を受け失脚 辺境の人民警察に追いやられる羽目に。 そこで かつて自分が事故として穏便に処理した部下の子供の死亡と似通った事件に遭遇 連続殺人犯の疑いが。 なんと作者は英国人。 題材として 日本の特高警察や731部隊や南京大虐殺を扱われていたら大変だったかもなどと ちょっと余計な心配を。
解説によれば ロシアでは翻訳が出版されず発禁書とのこと。
異国を題材にした作品は 細部の描写を含め該当国ではなかなか認め難いものがありそうです。
私も 西洋の著名作家が日本を題材にした
シブミ / トレヴェニアン
ハンニバル・ライジング / トマス・ハリス
辺りでも 納得のいかぬ描写があり 結構読了するのに苦労した記憶が。
ただ日本では 異人さんの評価を妙に有難がる傾向があるので拒絶反応だけではないかも。
そしてわが家の書棚にも
菊と刀 / ルース・ベネディクト
ジャパンアズナンバーワン / エズラ・F・ヴォーゲル
など 異人さんの日本論が鎮座。
さらに外人を騙った
日本人とユダヤ人 / イザヤ・ベンダサン
まで...
菊と刀 (上)P132より
これまでに何の関係もなかった人から、たとえ煙草一本もらっても、日本人は心苦しく思う。そしてそういう場合に礼を述べる丁寧ないい方は、「キノドク(すなわち、有毒な感情)ですね」ということである。ある日本人が私にこう説明した。「どんなにいやな思いをしているかをはつきり口に出して言ってしまった方が、我慢がしやすいのです。それまでその人のために、何一つしてやろうなどと考えたことがなかったのですから、恩を受けたことが恥ずかしくてならないのです」。だから「気の毒」という語は、時には ‘Thank you’〔有難う、感謝する〕(煙草を貰って)、時には ‘I am Sorry’〔すまない、遺憾に思う〕(恩恵にあずかって)、時には ‘I feel like a heel’〔面目ない、碌でなしになったような気がする〕(このような過分のことをしていただいて)、と訳される。「気の毒」という日本語は、これらすべての意味をもっているが、又そのどれにも当たらない。
確かに 広辞苑 第六版によれば「気の毒」は
相手に迷惑をかけて、すまなく思うこと。また、感謝やお礼の意を表すのにも使う。
用例:「こんな良い物をいただいて気の毒な」
とのこと。
ただ近世の江戸時代ごろならいざ知らず 昭和26年の時点では一般的な用法とは思えません。
勿論 最初私は意味がわからなかったので 逆に印象に残っている次第。
以上3冊は 再読した上でちょっと照れるコレクションの雑誌や本に追加しようと思います。
再読するのは何時になることやら。
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Comments
こちらこそ 今年もよろしくお願いいたします。
>チャイルド44
実態はともかく スターリン圧政下の閉塞感や恐怖感が個々人にひたひたと迫ってくる感じがホラーしていますね。
小林多喜二の拷問死や日本赤軍とかオウムなどをついつい思い浮かべてしまいました。
北朝鮮とか紅衛兵とか赤狩りもこんな感じだったのでしょうね。
嫌煙権とかスーパーのレジ袋とか所謂エコも こんな風にならないことを祈っています。
>イザヤ・ベンダサン
「安全と自由と水のコスト」「全員一致の審決は無効」とか素直に共感した覚えが。
ダビンチコードのように評判になりすぎて 本当のユダヤ人や研究家から批判を受けていました。
>「中国人から見た日本人」
ありがとうございます。確かに面白いですね。
私も嵌りそうです。
とても新鮮です。
Posted by: E+Op. | January 10, 2009 at 11:23 AM
年末より雑事に取り紛れて(皆さんに)ご無沙汰失礼してました。今年もよろしくお願いいたします。
>チャイルド44
もちろん私も「このミス」で(^^)
まだ先週買ったばかりで開いてません。
>イザヤ・ベンダサン
高校時代だったか、授業で「日本人は日本人論が好きだ」というテーマでこの手の本を数冊読まされました。
本はまだ持ってますが、内容は全く思い出せません。
最近はネットで拾い読みした「中国人から見た日本人」が面白くてはまってしまいました。
Posted by: 皿 | January 09, 2009 at 10:40 PM